腱板損傷(ローテーターカフ損傷とは)
腱板損傷(ローテーターカフ損傷)がある人は肩の痛みと、肩を支える筋肉の弱化が起こります。ローテーターカフと呼ばれる筋肉群は肩甲骨から始まり、上腕骨に付着しています。ローテーターカフは急性・慢性両方の怪我が起こりやすい場所です。
・急性の外傷は肩をぶつけたり、急に強い力で引っ張られるなどで起こります。適切な休息をとれば徐々に回復することがほとんどです。
・慢性の外傷は使い過ぎによるインピンジメント症候群が原因となります。野球のピッチャーや建設現場で働く人など、日常的に肩を酷使しすることで起こり、6週間からそれよりももっと長く続く可能性もあります。
ほとんどの腱板損傷(ローテーターカフ損傷)は痛み止め、休息、運動療法のどれか、もしくは全てが適応されます。腱板損傷の度合いが強く、保存療法では回復が難しい場合は、痛みを抑える注射や手術などが行われます。
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ローテーターカフの解剖学
ローテーターカフ筋肉群は肩甲骨から始まり、上腕骨の上部を取り囲むように付着しています。以下はローテーターカフを形成する筋肉群です。
・肩甲下筋:肩の前面に付着します。
・棘上筋:肩の上部に付着します。
・棘下筋:肩の後面に付着します。
・小円筋:肩の後面に棘下筋と共に付着します。
これらの筋肉が正常に働くと、関節の動きをスムーズにするのと同時に、上腕骨と肩甲骨で作られる肩の関節を安定させる役割も担っている。
どのように腱板損傷は起こるのか?
肩関節は複雑な構造をしているが、それによって可動性と安定性の両方を作り出しています。しかし、その複雑な構造により怪我のリスクは高く、とりわけローテーターカフは損傷を起こしやすい代表例です。腱板損傷(ローテーターカフ損傷)は外傷、組織の変性、肩のインピンジメントが原因で起こります。特に野球のピッチャーのように、反復的に肩に強い負荷がかかる動作を繰り返すことで、腱板損傷は起こりやすくなります。
ここでは主に原因となる要素を紹介します。
・急性の痛み:例えば腕が伸びた状態での転倒や、重いものを持った時など肩に急な強い負荷がかかった時に起こりやすくなります。
・肩関節の変性によるもの:肩関節が加齢や長年の使いすぎにより変性することで痛みが起こります。特に40歳以上の大工さんなどは、肩を長年酷使していることが多く、肩関節の変性が起こりやすいです。肩関節の変性が進行している人は、何か特別なことがなくても腱板損傷を起こすことがあります。
・肩のインピンジメントは次のように起こります。上腕骨と肩峰の間に存在する腱板が、肩の外転動作によって挟み込まれることで炎症が起こり、痛みを引き起こします。
・肩の不安定性:ローテーターカフ筋肉群が上手に働かなくなると、三角筋や僧帽筋などに肩関節を支えるようになるため肩の安定性が失われます。
反復する投球動作:野球のピッチャーは腱板損傷が起こりやすいと言われています。理由としては投球動作が肩関節やローテーターカフ筋肉群に負担がかかりやすいことと、その動作を繰り返すことで、肩の組織の修復が間に合わず痛みが慢性化しやすいためです。
腱板損傷が急性の怪我やインピンジメント、投球動作のどれで起こったとしても症状は、痛みや可動域の低下などが中心となります。
腱板損傷の症状
腱板損傷(ローテーターカフ損傷)の症状で特に多いのは、肩の痛み、可動性の低下、筋力の低下などです。いかが症状の特徴です。
・肩の痛み:腕を上げたり、後ろに回したりすると痛みが強くなります。また夜間の痛みを訴える人が多いのも特徴です。
・肩関節の硬さ:とりわけ起床時に関節の硬さを感じることが多いです。
・筋力の弱化:腕を上に挙げたり、体幹部から腕が離れるほど動きが難しくなります。
・可動性の減少:腱板損傷をした人の肩関節可動性は極端に減少します。ただし、他人によって肩を動かされた場合は、動くケースもあります。
・肩前面の腫脹:炎症によって肩の前面が腫れを起こす人もいます。
・音がなる:腱板損傷の影響で、周囲の組織との摩擦が起きやすくなり、肩を動かす時などに「コキッ」という音が鳴るようになります。
リスク要因
腱板損傷(ローテーターカフ損傷)は大きく分けて、外傷によるものか、関節の変性によるものに分けることができます。肩関節の変性による腱板損傷の要因は以下のようなことが挙げられます。
・関節の使いすぎ:肩関節に負担がかかる野球のピッチャーやテニスプレーヤなどが、肩関節の使い過ぎにより痛みを引き起こします。
・肩の関節炎:肩の関節にカルシウム沈着による骨棘が形成され、その影響で腱板(ローテーターカフ)の安定性や筋力弱化が起こりやすくなります。
・加齢:年齢を重ねるにつれて肩関節は変性が起きやすくなるため、腱板損傷は起こしやすくなります。ただし、痛みをあまり感じない方もいます。
肩関節の変性による腱板損傷が高齢の方に多いのに対して、外傷による腱板損傷は若い人に多い傾向があります。
腱板損傷に対するカイロプラクティックケア
カイロプラクティックケアで腱板損傷(ローテーターカフ損傷)の施術を行う際には、肩の状態がどの程度の損傷なのか見極めることが重要です。特に炎症の具合や肩の可動性、ローテーターカフ筋肉群がしっかり働いているのかを確認します。また、整形学検査や神経学検査を用いて、禁忌の除外も行っていきます。検査を行った上で、カイロプラクティックケアが可能であると判断できた場合は、肩関節のモビリゼーションや脊柱に対する矯正(アジャストメント)を行っていきます。
脊柱を含む肩関節の機能を正常に戻すことで、肩に掛かる負担の軽減が出来るため、回復までの期間の短縮が見込めます。腱板損傷でお悩みの方は一度ご相談ください。
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