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腰椎椎間板変性について

腰椎椎間板変性の概要

 

 腰椎の椎間板変性とは主に加齢により椎間板がすり減ることで、腰痛などを引き起こすことを言います。椎間板は繊維性の強固な組織で作られており、椎体間で体重の重さを支え吸収する役割を担っています。椎間板が柔軟性と強固さを持ち合わせていることで、私たちは身体を曲げたり、回したりすることができるようになっています。しかし椎間板変性は病気などではなく、年齢を重ね椎間板の水分量が失われていくことで、誰にでも起こりうることなのです。基本的には椎間板が原因で腰に痛みや痺れなどがある場合に、椎間板変性と言われます。

椎間板について

 

 椎間板は以下の三つで構成されています。

 

 

 ・繊維輪:椎間板の外側を取り囲んでいるのが繊維輪という組織です。腰椎の繊維輪は頸椎椎間板とは違い、より厚く強力なコラーゲン繊維で構成されています。

 ・髄核:椎間板の中心部分には髄核と呼ばれる柔らかく弾力性を多く含んだ組織が存在します。70~90%は水分で構成されており、年齢とともに水分量の減少、組織の骨化が進み柔軟性が失われていきます。

・椎体終板:椎間板の表面には皮質骨と硝子軟骨という2層の組織があり椎体と椎間板をくっつける役割と、脊椎終板にある栄養素を含んだ水分を背骨を動かすことで椎間板に吸収させています。

 

 神経や血管は椎間板の外側の層にしか存在しないため、椎間板の組織が傷ついた時に修復する能力が低く、脊椎終板にある栄養素に頼らなくてはいけなくなります。また椎間板に含まれる水分量が減ることで、柔軟性の欠如、大きさの減少、壊れやすくなった結果、椎間板の変性が始まり周囲の構造にも変化をもたらすようになります。

腰椎椎間板変性の症状

 

 腰椎椎間板変性の痛みの特徴は、我慢できる程度の腰痛が長期間続くこと、時折強い痛みが数日間続くというものです。症状の特徴は以下のようになります。

 

・弱い痛み:損傷した椎間板の周囲に痛みが出るのが一般的な椎間板変性症状の特徴であり、時折臀部や股関節、太ももに痛みを感じることもあります。

 

・強い痛み:何度も同じ箇所を損傷したり損傷度合いが強かったりすると、椎間板で炎症が起こり強い痛みを引き起こします。通常は数日で落ち着き、また弱い痛みが続きます。

 

・刺激に敏感になる:腰痛椎間板変性が起こっている周囲の組織は触られたりすると敏感に感じます。原因としては炎症や筋肉が過緊張を起こしていることが挙げられます。

 

・足の痛み:椎間板の損傷が強くなり、近くの神経根に対して影響を及ぼすと痺れや筋力の弱化、鋭い痛みがを感じるようになります。ただし、症状が膝よりも下に感じることはまれです。

 

・腰が崩れるような感覚:椎間板の損傷が強く支えが弱くなると急に腰に不安定感を感じ、「腰が抜けるような感覚」が出ることがあります。

 

 上記の症状に加えて姿勢や動きによって増悪する痛みは以下のようなものになります。

 

・座っている時の痛み:長時間座っていると、椎間板への圧力が上がることで痛みが強くなる傾向があります。

 

・体幹部を動かすと痛む:痛みが強く起こっているときに体幹部の前屈や回旋などを行うと痛みが強くなる傾向があります。

 

・歩行中や同じ姿勢を避けると痛みが和らぐ:体勢を変えると椎間板への圧力が下がり、筋肉や関節に負荷を逃がすことができます。立ったり座ったりを繰り返すことや、時折歩くことで固まるのを防ぎ、痛みを最小限にすることができます。

 

 椎間板変性では基本的に排便・排尿障害や高熱を伴う腰痛、急激な体重減少などは起こりません。これらの症状がある場合は深刻な問題が隠れている可能性があるので、早急な医療機関の受診をお勧めします。

腰椎椎間板変性に関連して起こる症状

 

 椎間板変性による腰痛に加えて、下記のような症状も起こりやすくなります。

 

・椎間板にあるタンパク質が脊柱にある他の組織と交わることで、炎症を起こし筋肉ではスパズム(痙攣)を起こし、神経では下肢に広がる放散痛を引き起こします(坐骨神経痛

 

・椎間板変性は状態が進行すると腰部脊柱管狭窄症や骨関節炎などを引き起こすことがあります。

 

腰痛椎間板ヘルニアも椎間板変性の影響で起こる症状の一つです。ヘルニアが神経根を圧迫し坐骨神経痛のような痺れや痛みを引き起こします。

腰椎椎間板変性を起こす要因

 

 椎間板変性の痛みは通常脊柱を支える筋肉の損傷か、椎間板周囲の空間で起こる炎症によって起こります。椎間板変性は加齢に伴う退行性変化により起こりますが、外傷、生活習慣の乱れ、遺伝的な要素も椎間板変性を加速される要因となります。交通事故のような強い衝撃で起こるということはほとんどなく、徐々に進行していくのが特徴です。以下に述べる要因が椎間板変性を少しずつ進行させる要因となります。

 

・炎症:椎間板腔にあるタンパク質が周りの神経を刺激します。

・支持性の低下:椎間板の周りを取り囲む繊維輪が荷重により消耗することで、脊柱の支える力が弱くなり不安定性を起こします。

 

  脊椎終板の損傷を繰り返すと、椎間板への血液の供給が減少し酸素や栄養が上手く運べなくなっていきます。その状態が長期間にわたって繰り返されることで症状が徐々に進行していきます。