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腸脛靭帯炎について

腸脛靭帯炎について

 

 腸脛靭帯炎はランナーやサイクリストのような激しい運動を行っている人に起こりやすく、痛みは膝の外側に感じます。初めは痛みが出たり出なかったりを繰り返しますが、そにままにしておくと時間が経つにつれて痛みが強くなっていくのが特徴です。

腸脛靭帯とは何か?

 

 腸脛靭帯は太ももの外側を覆う繊維性の組織です。解剖学的には骨盤部の腸骨稜から始まり、大腿の外側を通り脛骨にあるガーディー結節に付着します。腸脛靭帯の主な役割は膝の関節を安定させることです。

 

 専門家によっては腸脛靭帯を大きな腱や靭帯と表現する方もいれば、筋膜と表現する方もいますがどちらも正解になります。なぜなら腸脛靭帯は腱の様に筋肉と骨を繋ぎ、靭帯の様に骨と骨を繋ぎ、さらに大腿の筋膜とも連結しているからです。また、腱や靭帯、筋膜は基本的に同じ繊維組織によって形成されているため、どのように表現しても基本的には問題ないと言われています。

腸脛靭帯炎の画像

腸脛靭帯炎の原因

 

 腸脛靭帯は膝の関節部分で他の部分より若干の厚みがあり、そこで痛みを引き起こしやすくなります。腸脛靭帯炎が起こる正確なメカニズムは専門家の間でも議論されていますが、以下のようなことが現在までに考えられています。

 

・膝の関節付近にある大腿骨外側上顆部分で腸脛靭帯が擦れることで炎症が起こり痛みが出ます。現在一番可能性があると考えられているセオリーです。

 

・膝の関節付近にある滑液包などに腸脛靭帯が擦れることで炎症が起こり痛みが出ます。

 

・腸脛靭帯自体が使い過ぎや外傷などにより炎症を起こし痛みが出ます。

 

 上記で示した腸脛靭帯炎の原因は全て正しい可能性もありますし、どれかは違う可能性もあります。しかし、症状の出方や評価の仕方に関しては、専門家の間で一致しており、基本的には手術などは行われません。

腸脛靭帯炎の症状

 

 腸脛靭帯炎の痛みは膝の外側部分起こり、鋭い、刺すような痛みが特徴で、時間の経過とともに症状が強くなる傾向があります。腸脛靭帯炎の症状の特徴は以下のようなものが挙げられます。

 

・鋭い痛み:膝の外側に鋭い痛みがあり、大腿骨の外側上顆周辺、もしくは少し下に痛みが出やすいです。

・膝を約30°曲げた時の痛み:膝の角度が30ぐらいの時が一番強い痛みを感じ、ここから専門家達は大腿骨外側上顆での炎症を一番の理由に挙げています。

・膝の固さと柔軟性の減少:膝の外側に固さを感じたり、曲げ伸ばしが難しく感じるようになる。

・触れると敏感である:膝の外側を触ると刺激に敏感になっており、押すと痛みがある。

・走るときに痛みがある:腸脛靭帯炎はランナーの2番目に多い怪我です。特に患部の足が着地した時に痛みが強く出ます。

リスク要因

 

 腸脛靭帯炎は比較的若いスポーツ選手に見られ、要因としては間違ったトレーニングのやり方が主な理由です。間違ったトレーニングとしては以下のような理由が挙げられます。

 

・筋力や柔軟性の欠如:太ももの内側にある内転筋の働きが弱いことで、外側にある腸脛靭帯が固くなりやすくなります。また、ハムストリングスやその他の大腿に付着する筋肉が固くなった場合も影響が出ます。

 

・ウォーミングアップの不足:運動を開始する前に5〜10分でもウォーミングアップをすることで、筋肉の他の軟部組織が緩みやすくなり腸脛靭帯炎の予防になります。

 

・急激にトレーニング量を増やすこと:急激にトレーニング量を増やしてしまうと、関節や筋肉に負担が掛かりやすくなってしまうので、専門家と相談しながらトレーニングの負荷を増やしていくことが重要となります。

 

・足に合わない靴:地面に足がつく時負荷がかかるのは足首だけではなく、膝や股関節などの関節や筋肉にも負荷がかかります。適切な靴を選択することで身体にかかる負荷を減らし、腸脛靭帯炎の予防となります。

 

・足場の悪い場所でのランニング:腸脛靭帯炎はランニングをしている人には起こりやすい怪我ですが、コンクリートのような硬い場所や凸凹道はそのリスクが上がります。

 

 ランニングをしている人だけでなく、その他にもサッカーやバスケットボールなど膝に負荷がかかる動きを反復するスポーツは腸脛靭帯炎を引き起こしやすくなります。

腸脛靭帯炎の様子

腸脛靭帯炎の評価方法

 

 腸脛靭帯炎を評価する際にはカウンセリングと身体検査が重要となり、以下のように行います。

 

・カウンセリング:痛みが出た時の状況や痛み方、生活習慣で膝に負担をかける要素があるかなどをカウンセリングを行い、腸脛靭帯炎の可能性があるのかを評価していきます。

 

・身体検査:膝の内側や前面などを触り痛みがないかを確認することで、腸脛靭帯炎以外の可能性を消していきます。またオーベルテストと呼ばれる整形学検査で腸脛靭帯炎の可能性あるのかを評価していきます。

 

 痛みが強くある場合は状況により医療機関での画像診断などを先に行ってもらい、他の症状の可能性がないかを確認してから次のステップに進むこともあります。

腸脛靭帯炎に対するカイロプラクティックケア

 

 カイロプラクティックケアでは個々の状況に合わせて腸脛靭帯炎の施術を初めて行きます。まずは、膝全体の動きに問題がないかを確認し、カウンセリングや身体検査を用いながら、カイロプラクティックケアが適応であるかを確認します。施術で重要になるのは、膝のモビリゼーションと脊柱に対する調整(アジャストメント)、膝や股関節、足首周辺で過緊張を起こしている筋肉になります。痛みの軽減と同時にカイロプラクティックケアを通して、脊柱を含む膝以外の機能を正常に戻すことで、膝に掛かる負担の軽減が出来るため、回復までの期間の短縮が見込めます。

 腸脛靭帯炎でお悩みの方は一度ご相談ください。