手関節部とは?
手関節部には筋肉の腱や神経、動脈などが密に存在しているため、痛みや神経痛などが起きやすいという特徴があります。今回はそんな複雑な構造をしている手関節の構造や特徴について書きたいと思います。
手関節前方部(屈筋腱)
手関節の前面には以下のような6つの屈筋腱が通過します。
・尺側手根屈筋
・長掌筋
・深指屈筋
・浅指屈筋
・長母指屈筋
・橈側手根屈筋
臨床上では直接この部分を押圧したり、筋肉を使わせたりしながら検査を行います。検査にて圧痛が見られるようであれば腱鞘炎などが疑われます。
手根管
手根管は長掌筋と浅指屈筋の間にあり、手関節の前面に位置しています。前方は屈筋支帯、後方は手根骨、外側は舟状骨と三角骨、内側は豆状骨に囲まれています。手根管内部には正中神経や手や指を動かす筋肉の腱が走行しているため、圧迫性の神経障害を起こしやすい場所になります。
臨床上は手根管や手根管内部は触知が難しいため、手根管部の浅い部分を押圧し、痺れや疼痛、筋力低下が見られるようであれば手根管症候群の可能性があります。『手根管症候群についてはコチラ』
ギヨン管
ギヨン管は豆状骨と有鉤骨鉤の間に位置しており、その間を尺骨神経と尺骨動脈が通過します。手根管と同様にギヨン管も圧迫性の神経障害が生じやすい部位となります。
臨床上はギヨン管内の尺骨神経と尺骨動脈を触れることはできないため、浅い部分を押圧し、痺れや疼痛、筋力低下が見られるようであればギヨン管内での障害が考えられます。
橈骨動脈と尺骨動脈
上腕動脈から二つに分かれて橈骨動脈と尺骨動脈になり、手に血液を送ります。橈骨動脈は手首の外側前面にあり、尺骨動脈は内側前面に位置しています。
橈骨動脈と尺骨動脈は手首で触知することが可能なため、脈拍の状態を確認し、圧迫などがないかを見ます。
尺骨茎状突起とリスター結節
尺骨茎状突起は小指側の後面にあり、リスター結節は親指側の後面にあります。この二つは触診が可能なため、圧痛や痛み、変形などがないのかを直接調べます。外傷後にリスター結節が痛む場合はコーレス骨折のような骨折が疑われ、尺骨茎状突起の痛みは尺骨遠位端骨折の疑いがあります。
手関節後方部(伸筋腱)
手関節の後面には以下のような伸筋が通過します。
・長母指外転筋と短母指伸筋
・長・短橈側手根伸筋
・長母指伸筋
・総指伸筋と示指伸筋
・小指伸筋
・尺側手根伸筋
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